Q.バスケットは走らなきゃ勝てない。
小学生にとってどれだけの量を走らせてもよいですか。もちろん、個人差もあると思いますが。中・高校生の走らせる量はどれだけでしょうか。
A.
明確な規定はありません
どの年代についても個人差が大きいので走る量については明確に決める(規定する)ことはできないと思います。小学生の学習指導要領にも明確な記載はありません。
私たちが指導してきた経験からお答えすると小学生については普通に練習をしていれば特別に走る練習をする必要はないと思います。日々技術練習をするなかで、ボールを使いながら走る練習(例えばツーメンやスリーメン)も行っていると思いますので、その程度で試合や練習をこなす体力は十分に養えると考えます。
この年代は身体の発達発育段階から考えても俊敏性や巧緻性が伸びる時期なので全力(100%)の70〜80%程度の強度でスキル練習と組み合わせて行うことが大切になります。(ボールスピードに合わせて走る、走りながら正確な位置にパスをするなど。)
【追い込みやつらいところで頑張ることが目的の場合】
1)練習の中でボールを使う場合はスリーメンやツーメン2往復を5〜10本などオールコートのメニューを行うと効果的です。
2)練習の最後にオールコートのダッシュやシャトルランをゴールタイムを決めて5本できるまでなど決めて走る。
<注意!>
追い込み練習など強度の高い練習は週に2日間までにして、必ず週に1回は完全休養日を設け練習にメリハリを付けることが必要です。
練習の最後に行う強度の高い練習は1〜2種目までとし、10分程度で終わるようにします(ラントレだけでなくDEFフットワークなども)。
全体的には強度の強弱をつけながらインターバルトレーニング的な感じで進めるのがいいと思います。
【走量の決め方】
では、どのように走る量を決めるかというと、血液検査や唾液検査などで疲労度を数値化することもできますが、時間も費用もかかりますので、現場では指導者の総合的な判断で決めることになります。
例えば、
1)子どもたちのスピードが落ちる
2)パフォーマンスが低下する
3)表情が暗くなる
4)(最近2週間くらいを目安に)試合や練習が続いていて全体的な運動量(運動時間)が長くなっていないか
5)子どもたちの主観的疲労度が高くなる(女子代表チームではコンディショニングノートに毎日5段階評価で疲労度や痛みの部位を記載しトレーナーが確認)
これらの状態がみられる時は練習量を下げることが必要です。
【ケガ予防のために】
小学生は膝のケガ(オスグットなど)が多いため直接身体をチェックすることでも有益な情報を得ることができます。
1)膝のお皿の周りやお皿の下からスネの骨にかけて押したときに痛みがある
2)スネの内側を骨に沿って押したときに痛みがある
3)片足で屈伸運動を繰り返すと痛みがある
4)うつぶせに寝て膝を曲げた時に踵がお尻にくっつかない(左右差がある)
これらのサインがある場合は膝のケガがある、またケガに繋がる疲労状態にあると言えます。
これらのサインが見つかった選手は練習を休ませる必要があります。
【中学生以上では】
中学生、高校生に対しても明確な規定はありません。
中学生は小学生よりレベルを上げた感じでメニューを組みます。
中学生・高校生になればラントレ(長距離走)を取り入れることもありますが、バスケットボールの競技特性から考えてもインターバルトレーニングが適しているため、短い距離のダッシュの繰り返しなどがいいかと思います。
例えば、ダッシュでコートを斜めに横切りエンドラインとサイドラインに沿ってジョグで帰ってくるなど。
たまには精神的に強くするための長距離走(クロスカントリー)やダッシュの繰り返しなどを限界まで(倒れるまで、吐くまで)行うことも意味があると思いますが、きりなくやり続けては身体に無理がかかりますので、事前に練習計画を立て、オフシーズンの今月だけ週1回行うとか、今週だけなど期限をきめて行うことが必要かと思います。
長くなりましたが、小学生時代は身体のコーディネーション、身体操作能力を伸ばす時期ですので、そちらを伸ばすことを最優先だと思います。
走量など具体的にお答えできずすみません。
回答者:トレーナー 津田清美